鎌倉駅から北鎌倉駅までは、観光ルートとしても知られている道で、僕も何回も通ったことがありました。
北鎌倉側から登るよりも鎌倉側から登る方が坂が急なので、鎌倉側から歩いたことはあまりありませんでしたが…
渋滞している鎌倉街道を横目に見ながら、ひたすら歩きます。観光客にまざって、学校帰りの学生の姿なども見られます。反対側には、私立の小学校と思われる生徒達の集団下校の姿もありました。
横須賀線と鎌倉街道の交差する踏切まで来てみると、鎌倉街道の渋滞の原因がわかりました。踏切が下りっぱなしになっていて、自動車が渡れないでいるのです。
「なんで踏切を開けないんだろう」と思いつつ、北鎌倉駅まで行ってみました。
列車の運行再開とか停電の状況とか何か新しい情報が手に入るかなと思って駅に立ち寄ったのですが、特に情報はなし。
窓口で駅員と警官が話をしていたのですが、警官が渋滞の原因となっている踏切を開けてくれないかと交渉していたようです。ところが駅員の方は「上から踏切は開けるなと言われている」の一点張り。「いったん踏切を開けてしまうと、列車の運転再開の時にチェックしきれないので…」というのが理由らしいのですが、いつになったら運転再開ができるのかわからない状況で、渋滞の発生源になっている状況を放置するのは、会社の姿勢としていかがなものかと思いました。
結局、僕が北鎌倉駅を後に歩き始めた頃に、それまでガラガラだった道路に車が通り始めたのですが、地元の方が手動で踏切を上げ、車を通していたようです(この後、他の踏切で、そういう場面を目撃しました)。そういう行為はJRとして黙認していたわけですから、結局「こちらは安全のために通行止めにしたので、事故が起きてもウチの責任ではありません」と説明するための責任逃れなのではないかと思っています。
さて、北鎌倉から大船までは、それまでの道と比べると多少不安がありました。通ったことがある道ではあるのですが、歩きではなく自動車で通ったことしかなく、しかも他の人の運転する車であったことが圧倒的に多いのです。ただ、おおよその道はわかっていたので、大丈夫だろうと思っていました。
途中、同じ方向に歩いている方に声をかけて道を確認したり、停電の範囲がどこまでなのかを確認したりしましたが、この時点で停電の範囲を知っている方は全くいませんでした。
しばらく歩くと湘南モノレールが見えてきて、大船駅が近づいていることがわかりました。
この辺りになると飲食店が並んでいるのですが、ほとんど閉店したまま。ただ、中には「トイレ使用可」といった張り紙を出してくれているお店もあり、僕は利用しませんでしたが、こういうことをしてもらえるのはとてもありがたいと感じました。
大船駅に着いたのは18時50分ごろでした。JRは自前の電源を持っているので、駅にはあかりがともっています。
ありがたいことに、大船駅では改札を開放し、構内のトイレを使用できるようにしてくれていました。ホームに下りることもできたので、ホームの自動販売機でミネラルウォーターのペットボトルを購入。トイレと水という二つの問題が解決したので、少し気が楽になりました。
駅構内の液晶モニターでは、テレビの中継を流しており、ここで僕は東北地方の津波の映像を初めて見ました。そして、想像以上の被害の大きさに茫然となりました。
この時点では、まだ自宅にも家族にも連絡が取れていませんでしたので、家族と自宅の状況がとても心配でした。僕の家は、本棚もたくさんありますし、カメラの置かれた棚もあります。本棚やカメラの棚が倒れていたら、その後片付けには膨大な時間がかかるかもしれません。
妻の職場は自宅の近くなので、そこにいてくれれば安心なのですが、今、妻の姉が入院しているため、早退してお見舞いに行くことになっていました。だから、妻が東京方面に向かった後だった可能性もあったのです。
ちなみに、大船駅では、上に書いたことの他に、職員の作成した帰宅マップの配付までしており、交通が麻痺した状態で考え得る様々なサービスを提供してくれていました。
後で知ったことですが、JRの駅の中には出入り口のシャッターを閉めて乗客を閉め出した駅もあるとのこと。この辺りの対応の差は一体何なんだろうと思います。
僕は鉄道が好きだし、社会のインフラとしての鉄道の意義や、環境問題・高齢社会への対応という意味でも鉄道の果たす役割は大きいと思っています。そして、社会の拠点としての駅の存在というのも大切だと思っており、今回の大船駅の対応は、まさにそれを証明したものだと思っているのですが、先ほどの踏切の点といい、その他の駅での対応といい、JR全体として自分たちの会社の社会的な役割と、それを率先してアピールしていかなければ「モータリゼーション」の波に呑まれてしまうということを自覚できていないのではないかと感じました。
posted by akira at 20:25|
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